【ゼロから学ぶXR技術 #9】アバターでのライブ配信と投げ銭による収益化の仕組みを確認してみる。

【ゼロから学ぶXR技術 #9】アバターでのライブ配信と投げ銭による収益化の仕組みを確認してみる。

最近はライブ配信サービスの人気が高まってきているように感じます。YouTubeにおいても、以前はライブ配信するためには一定の条件があったようですが、今では誰でも利用することができるようになっています。また、人気が高まっている背景には、投げ銭による収益化の仕組みの普及が考えられます。投げ銭とは大道芸人が路上パフォーマンスをした際に、設置された空き缶などに通行人が小銭を投げ入れる行為と同様に、ネット上のライブ配信に対して、ネット上でお金などを渡す行為を指します。

多く見られるのは、自分がプレイしているゲーム画面をライブ配信し、ネット経由でそれを観戦しているギャラリーが、スーパープレイに対するチップや応援の気持ちで投げ銭をしています。ゲームに特化しているライブ配信プラットフォームとしては、Amazonが買収したTwitchが有名で、一流のゲームストリーマーになると億単位の収益があるそうです。

まあ、私も子供の頃はゲームプログラマーを目指したこともあり、今でもフォートナイトぐらいは楽しむのですが、今注目しているのは、ソーシャルビジネスの収益化ツールとしての投げ銭です。そもそも投げ銭の機能については、英語でDonationとしているソフトウェアもあるぐらいですから、こちらのアプローチが王道ではないでしょうか?

具体的には、新興国の方々だからこそ提供できるコンテンツをライブ配信し、それに対する投げ銭を収入としてもらうモデルを検討しています。(大きなビジネスモデルの中のサービスメニューの一つとして)そういう意味では、アバターになる必要は全くないのですが、以前、アバターでZoom会議もやりましたので、その延長としてアバターでのライブ配信と投げ銭の機能確認をしてみようと思います。

アバターでZoom会議

https://social-bizcreator.com/blog/2020/05/10/zerovr02/

まず、今回対象とする配信先はYouTubeとします。ライブ配信するためにはチャンネルの作成をしておく必要がありますが、Live配信の認証に24時間かかりますので、まずはライブ配信チャンネルの準備をしておきましょう。

続いて、ライブ配信ソフトウェアとしてはstreamlabs OBSを利用することにしました。この配信ソフトは、有名なライブ配信ソフトであるOBSをベースにして、streamlabs(PCの周辺機器で有名なLogitechによって買収された)のサービスを利用できるようにしたものです。恐らく、現時点では最もポピュラーな配信ソフトだと思われます。マルチプラットフォームに対応しており、今回はWindows PCとiPhoneでの配信を試してみました。

streamlabsのトップページから

Streamlabsのウェブサイトのトップページに、上のようなキャッチフレーズがあるのですが、実際にやってみると大げさな表現ではありませんでした。単純にカメラに映った画像を標準のテンプレートでライブ配信するだけなら、ちょっとしたハマりポイントさえチェックすれば、本当に数分で誰ても無料でライブ配信ができてしまいます。

細かい設定は検索してもらえればいくらでも情報があるので割愛しますが、仕組みを知らないとハマる可能性のあるStream Keyにだけ触れておきます。YouTubeチャンネルを作成すると、YouTube Studioというツールが利用できるようになります。ここでライブ配信のチャンネルを作るわけですが、その設定画面が「1. YouTube Studio」です。画面の中ほどにあるDefault stream keyをコピーして、ライブ配信ソフトであるstreamlabs OBSの配信先(YouTube)の設定にペーストします。これで配信ソフトとチャンネルが関連付けられ、配信ソフトの出力がYouTubeのチャンネルを通して配信される仕組みです。

streamlabs OBSの設定画面も一枚だけ上げておきました。「ソース」としてPC上の任意のウィンドウやゲーム画面のキャプチャなどを設定でき、それにカメラ画像を重ねて配信するスタイルが一般的でしょうか。標準で確か2つのテンプレートが利用でき、それでも十分にしゃれた感じの配信画面になりますが、有償のプレミア会員になればより多くのテンプレートが利用できるようになります。個人的にはどれもこれもギラギラとしたものやサイバーなものが多く、社会貢献を訴えるものや、ITセミナーといった用途でマッチしそうなものがなく、以前に音声合成を試した時と同様、ちょっと違う世界を感じました。(違うからこそ、それを繋げることで新しいものが創造される可能性が高いのですが)

3枚目の画像、「3. YouTubeのClient view」が、実際にライブ配信を視聴した時の見え方になります。今回は、以前にアバターでZoom会議やオンライン飲み会をするときに利用したFaceRigを利用して、アバターとして配信をしてみました。こちらもFaceRigさえ設定してあれば、streamlabs OBSについては、カメラ入力の設定を変更するだけで問題なく動作しました。

iPhoneアプリを利用したライブ配信
iPhoneのゲーム画面等をライブ配信する方法

更に、iPhoneでライブ配信する場合は、アプリをインストールしてYouTubeアカウントにログインしたら、ライブ配信ボタンをタップするだけです。PC版のように複雑なメニュ構成になっているわけではないので、もう、間違えようもない感じでした。写真ではiPhoneをカメラとして、作業環境を配信している様子です。フロントカメラに切り替えれば、顔出しで配信も可能です。

iPhoneでのゲーム配信については癖があるので触れておきます。streamlabs OBSのiPhoneアプリが登場するまでは、iPhoneをPCに接続し、その画面をPC上に表示させたうえで、その画面をキャプチャしてライブ配信するのが一般的なスタイルでした。(Mirrativのようなスマホでのライブ配信に特化したアプリを使う方法もありますが、こちらは私の目的に合っていないのでスルーです。)しかし、このソフトではその面倒な作業が不要になっています。iPhoneの設定のControl CenterでScreen RecordingをOnにします。そうすると、上のようにStreamlabsのアイコンが表示されるようになり、それを選択してレコーディングを開始するだけで、iPhoneの画面がライブ配信されます。まだ、配信までを試していませんが、「パぺ文字」を利用して簡単にアバターとしてのライブ配信もできそうです。

パぺ文字を利用してお手軽にアバターでのライブ配信が実現できるはず

最後に肝心の投げ銭機能なのですが、現時点では投げることはできても、受け取る方法にたどり着いていません。ネット上にも投げ銭を受け取る方法や自ら投げ銭の仕組みを準備することに言及している情報が少なく、もう少し時間がかかりそうです。また、最近はSalesforceのMarketing Cloudを少し真面目に勉強し始めており、ライブ配信のチャンネル登録、視聴状況、コメントおよび投げ銭の実績などの情報を取り込んだカスタマージャーニーを設定して、マーケティングオートメーションの動作確認をしようと考えていますので、その辺りとまとめて、投げ銭についても書こうと思います。とはいえ、次がいつになるのか。。。質の高いデザインスプリントを実施する秘訣やイノベーションを実現するための企業戦略あたりのネタが先かもしれません。