人材開発に「エニアグラム」を活用してみる
皆さん、エニアグラムというものをご存じでしょうか?ウィキペディアによると、以下のように説明されています。
昨今では、このエニアグラムを利用した性格論、性格類型との関係で使われることが多い。その場合には、人間の性格を9種類に分類しエニアグラムに当てはめたもの、またはそれに基づく性格論を指す。エニアグラム性格論は、9つの相互に関連した性格の類型であるとされ、
中略
ビジネス管理の文脈では、一般的に職場の人間関係への洞察を深めるための類型として使われている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/エニアグラム
ビジネスパーソンにとってのエニアグラム
もとは円周上の九つの分割点を直線で結んだ図形の名称のようですが、私を含め、ビジネスパーソン的には以下の9つの性格に分類する方法論と理解して問題はなさそうです。
タイプ1:改革する人
タイプ2:助ける人
タイプ3:達成する人
タイプ4:個性的な人
タイプ5:調べる人
タイプ6:忠実な人
タイプ7:熱中する人
タイプ8:挑戦する人
タイプ9:平和をもたらす人
このエニアグラムですが、本来は自己理解のためのツールとして用いられることが多いようですが、私には効率的かつ効果的な人材開発をサポートするツールとして活用できると映りました。
近年は人材の多様化が進み、世代ごとの画一的な教育プログラムが十分に機能しなくなってきていると感じています。教育対象のスキルレベルに応じて細分化されたプログラムも一般化していますが、それらは対象の内面を無視した、あくまでも外形的な機能にフォーカスしたプログラムとして設計されています。
特に、多様な価値観を持つ新入社員の教育において、集合型の画一的な教育プログラムは、必要最低限の知識の詰込みとしては一定の成果を上げているものの、企業戦略へのコミットメント、チームビルディング、価値創造といった、個々人の価値観との紐づけが欠かせない、意識改革を伴う教育については十分な成果が得られていません。
「働かないおじさん」こそ対象とすべき
意識改革という意味では、「働かないおじさん」についても、十把ひとからげに対応を検討するのは乱暴なのかもしれません。おじさん達は、長い社会人生活の中で、性格が行動により強く出ている可能性が高く、こちらの方が、エニアグラムの観点での分析対象としては適切なのかもしれません。
また、業務の現場においては、一人ひとりの個性を見極め、それぞれに応じた教育を実施することが望ましいですが、5人、10人ならまだしも、50人以上の規模となると、個別管理は現実的ではないでしょう。
このような状況において、エニアグラムによる性格類型による育成対象の分類とそれに応じた育成プログラムのカスタマイズは現実解となりうるという仮説に基づき、ワークショップ開発の観点として取り込み、実際に検証してみることとしました。
似た者同士 vs. ダイバーシティ
もちろん、ダイバーシティの観点では様々な価値観がぶつかり合うことでイノベーティブな議論がなされることは承知していますが、初期の議論においては、価値観の似た者同士でアイディアを一定水準まで詰め、その後、価値観の異なるチーム同士のアイディアをぶつけ合うことで、より上質な議論がなされると仮説を立てました。
エニアグラムについては、一定の支持があるものの、科学的根拠や宗教的観点から批判もあるようです。しかし、イノベーションを志す者が、既存の価値観に臆して行動を起こさないのは、そもそも論に立ち戻らなければならなくなるので、まずは行動してみることにします。
直近の15名ほどのワークショップのグループ分けに反映してみようと考えていますが、9種類に分けると議論にならないため、似た人を寄せたり、補完関係の組み合わせを検討したりと、組み合わせの観点でも検証をしてみたいと考えています。
結果報告を楽しみにしていてください。