【働かないおじさん #3】リスキルワークショップ(1/3)

【働かないおじさん #3】リスキルワークショップ(1/3)

前回の記事で、「働かないおじさん」が社会課題の解決を担う、ダイヤモンドの原石である理由を述べました。しかし、ただ放置しているだけでは、原石のままでダイヤモンドとしての価値が生まれません。そこで、私が現在開発中の「働かないおじさん」変革プログラムの中から、原石を磨くためのツールである、リスキルワークショップの演習の一つ、「究極の一皿」をご紹介します。

リスキルプログラムとは

昨今、「働かないおじさん」の活性化を目的としたリスキルプログラムが登場しています。そのレベル感は様々ですが、Excel、WordやPower pointといったOfficeアプリケーションのスキルアップを狙ったものや、Slack、Teams、Zoomといった近年のチーム連携ツールの習得、高度なところでは、従来型IT技術者をAIやIoTといった、いわゆるデジタル時代にマッチした技術者への育成を試みるものなど、その多くが「働かないおじさん」は成果を出す人材と比較して、ITリテラシーが相対的に低いという前提で設計されています。

そして、それらを研修の形式で受講させ、人材活性化の施策を実施しているエビデンスとしています。もちろん、その成果はプログラム適用人数などで語られ、労働力としての質の変化には言及されないことが一般的です。

それは何故でしょうか?

まともなリスキルプログラムが存在しない理由

そもそも、このような根の深いに課題に対して、研修を受けさせれば解決できるなどという発想からして不自然です。すなわち、「働かないおじさん」が、その上司と部下の両者にとって非常に扱いづらい特性があり、そもそも本気でリスキルできるなどとは誰も思っておらず、何かしらのアクションを打っている体裁を整えているに過ぎないのです。

では、その特性について、もう少し詳しく触れてみましょう。

まず、上司から見た「働かないおじさん」についてですが、上司自身が若手社員の時代に、自分を指導してくれた上司や先輩であることが多いのです。そのため、見て見ぬふりを決め込み、思考停止となるか、組織への罪悪感を薄めるために、それを恩返しなのだと、自己暗示や自己弁護に徹する人もいるようです。

一方、部下から見た「働かないおじさん」については、如何ともしがたい悩ましい存在です。働く能力があるにもかかわらず、意図的に「働かないおじさん」は、そもそも働かなくても業務が成立する状況を作り出しているほどの図太い性格で、更に、部下よりもスキルが高い場合すらあり、とても部下が改心させることなどできません。

これらのことから、「働かないおじさん」を活性化させるためには、スキルをどうこうする事を考える前に、彼らのマインドセットの変革から始める必要があります。そして、彼ら自身が学びたい、もしくは、学ばなければ非常にまずいという意識を持つようになってから、リスキルに取り組まなければ、質的な変化は望むべくもないのです。

「働かないおじさん」変革プログラム

そこで、私が開発している「働かないおじさん」変革プログラムは、マインドセット変革セミナーとリスキルワークショップの2つで構成されています。

マインドセット変革セミナーの詳細については、ここでは触れませんが、最大のポイントは、リスキルワークショップでのトレーニングが、彼ら自身のメリットになることを、明確にイメージできるように啓蒙することです。(ダイエットや禁煙と同じく、目指すリスキルにはトレーニングの継続が欠かせないため、本人の意思が最重要となります。)彼らは合理的な理由でワークショップのメリットについて納得さえしてくれれば、自らの利益のために一所懸命に励んでくれます。

そして、リスキルワークショップでは、アート思考のアプローチでイノベーティブなアイディア創出という、汎用ポータブルスキルを身に着けることを目指します。

なお、私の開発しているリスキルワークショップの演習は、マインドセット変革セミナーを受講した「働かないおじさん」が腹落ちしやすいようにチューニングされていますが、アート思考のトレーニングとして、すべてのビジネスパーソン向けに設計されており、世代の異なるメンバーでのグループワークが可能となっています。

リスキルワークショップから「究極の一皿」

そして、3回に分けて紹介するのが、リスキルワークショップで実施しているアート思考トレーニングの一つである、「究極の一皿」です。講師役をレストランを訪れる顧客とし、その顧客が絶対に体験したことがない究極の一皿を提案するという演習で、以下の目的で設計されています。

  • デザイナーとは異なる、アーティストの思考方法を理解する。
  • 仮説推論アプローチの体験を通して、発想力の鍛え方を知る。
  • 論理の飛躍とアハ体験を知り、運が良ければ経験する。
  • デザイン思考によるサービスの最適化を経験する。

具体的な進め方については、今後の投稿で。