【感性を砥ぎなおす #1】 アイディアが閃く具体的な習慣

【感性を砥ぎなおす #1】 アイディアが閃く具体的な習慣

これまでの海外暮らしとビジネスの中で、様々な国の自然や文化に触れてきました。気がづけば、訪れた世界遺産はすでに55か所を超え、現地で生き抜くために、様々な言語も学びました。それらの経験や学びが、私のアイディア発想の根幹をなしていると考えています。

しかし、2018年に帰国して以来、せっかくの経験と学びのストックが日々色あせていくのを感じています。そこで、この「感性を砥ぎなおす」シリーズは、当時の写真を見ながら記事を執筆することで、当時の記憶を蘇らせ、自身の無形資産をアイディア創出のために再活性化する試みです。ただの旅の記憶なので、軽い気持ちで楽しんでもらえればと思います。

無理にでも体験する習慣

私の経験上、閃きや共感といった価値創造のきっかけとなる瞬間には、自身の知識や他人の言動、そして目の前の光景などが、過去の実体験と重なった時に起こることが多い気がしています。また、自ら体験していないことを、他人に説得力を持って伝えることは至難の業だと思っています。

そういった考え方もあり、旅をする機会には、その場でなければできないことを探し、多少無理をしてでも体験するように心がけています。今回はザッハトルテの体験を回想します。

ミュンヘンでザッハトルテが気になる

出張でドイツのミュンヘンに行ったときのことです。ドイツには時々出張の機会がありますが、この時は、出張に週末が挟まる非常にまれなケースでした。そこで、いつでもできるブルワリー巡りはとりあえず横に置き、周辺諸国で出張の機会がまずない国をチョイス、そして、その国の名物を調べた結果、ザッハトルテにたどり着きました。

この時までの私にとってのザッハトルテは、ちょっとかっこいい名前のチョコレートケーキぐらいの認識でしかありませんでした。しかも、チョコレートはどちらかというと嫌いな食べ物でした。

しかし、色々調べてみると、ザッハトルテ、それは名前が示す通り、ホテルザッハーで考案されたチョコレートケーキとのこと。これはネタになる!

由緒正しいオーストリアの伝統菓子

ホテルザッハーのあるオーストリアのザルツブルクは、ミュンヘンに隣接する街でした。それこそ、その瞬間見たGoogle mapsの縮尺では、たった1cmほどしか離れていない、隣町に見えました。(実際は往復するのに一日がかりでしたが。)

そして、その翌日には、歴史を感じる落ち着いた雰囲気の中で、由緒正しいオーストリアの伝統菓子であるザッハトルテと、定番のメランジュ(日本でいうウィンナ・コーヒーのような見た目のカプチーノ)を堪能し、大満足しました。まさに、正しい知識と体験が重なり合い、目的は果たされたのです。

新たな着想を得る

しかし、この時、あることに気づいてしまいました。このザッハトルテは間違いなくお酒に合う。きっとブランデーあたりが定番かと思いますが、当時、チリに駐在しており、多少ワインもかじっていたので、その時は、赤ワインが頭をよぎりました。

そして、バーカウンターの素敵な雰囲気に負けたこともあり、カロリーも気にせず、2個目のザッハトルテに突入し、自身の仮説を検証することとなりました。

このザッハトルテはクリームも含め、見た目ほど甘くなく、チョコレートも苦みの効いた重厚な味わいで、中には少しジャムの酸味を感じました。そこで、このチョコレートに負けないような、しっかりとタンニンの効いた赤ワインをオーダーしました。

そして、仮説検証の結果は、

「オリジナルのザッハトルテはフルボディの赤ワインに非常に合う。」

しかし、あまりにも想定通り、イメージ通りにマッチしたため、イノベーティブな着想とは到底呼べませんが。

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