【感性を砥ぎなおす #2】真実を知りたければ実際に行動を起こそう!

【感性を砥ぎなおす #2】真実を知りたければ実際に行動を起こそう!

昨日までは5回にわたり、やや堅苦しい内容だったので、今日は気分を変えていきます。

このシリーズの前回の記事では、知識だけでなく、それを実際に体験することで、新たな気づきや他人との共感に活用できるようになることを改めて確認しました。今回は、実際に行動を起こすことで、初めて真実を知ることができることを思い出させた写真とともに、お話しをしようと思います。

四川省での日常

もう、10年以上前になります。仕事上で中国企業との付き合いが多くあり、西は西安から東はハルピンまで、多くの都市を訪れました。その中でも記憶に残る仕事といえば、四川省の成都にある某大学に日本品質のソフトウェア開発を学ぶことができる研究室作り、1年間、そこでソフトウェア工学を教えていたことです。教育現場での学生との交流から得た知識や経験は何にも代えがたい貴重なものでしたが、今回は普段の生活からいくつかピックアップします。

まずは、日本でもすっかりおなじみの火鍋ですが、四川省の重慶が本場です。もちろん成都にもたくさん火鍋屋さんはあるのですが、本場志向の私としては、週末にわざわざ重慶に食べに行ったりしました。日本人向けにカスタマイズされていませんので、容赦のない麻辣テイストです。中国語にそれほど不自由がなかったため、地元の人が行く、安くておいしいという店を中心に楽しみます。少々お店が不衛生でも大して気になりませんが、一つだけ確認していたことがあります。それは、鍋の素というか、つゆというか、それをちゃんと新品で出すお店かどうかです。

まだまだ世間知らずの日本人だった私の常識では、思いつきすらしませんでしたが、原価低減が理由でしょうか、安いお店では鍋のつゆを使いまわすのはよくあることでした。お店の入り口をよく観察すると、「うちの店は毎回新しいつゆを出しています!」とアピールしている店の多いこと。。。もちろん、この事実に気づくまでに何度も秘伝のつゆの火鍋を食しているわけですが。こういうことは、ガイドブックに書いておらず、地元の人にとっては常識なので、実際に行動を起こして試してみても、真実を知ることが難しい類の例かもしれません。

おっと、そうではなく、行動を起こすと真実が分かる話をするのでした。

世界遺産、九寨溝

週末にはちょっと足をのばして、有名な観光地も回りました。その中で、世界遺産でもある九寨溝(きゅうさいこう)と黄龍(こうりゅう)での経験です。

これらの美しい景色は、写真などで見たことがあるかもしれません。実際、これまでの人生で見たことがないほど、澄んだ水と自然の調和が素晴らし場所でした。素人が携帯で撮影してもこんなに綺麗なんて、よっぽどですよ。

謎の魚と出会う

そして現地のレストランで教えてもらった、上の写真に写っているこの魚。「冷魚」という、この広い湖の中で唯一の魚だそうです。湖が澄み切っているため、えさになるような小動物やプランクトンがほとんどおらず、この魚だけが気合で生き残ったとのこと。でも、餌がほとんどないので、成長するのにとんでもない年月がかかるそうです。

当然、食べてみたくなりますよね。火鍋と違い、清潔な印象ですし。

冷魚をシンプルに頂く

約10cmと15cmぐらいの2尾を注文して味比べをしました。体長で1.5倍、重量で3倍くらいでしょうか?値段は10倍くらいしました。とにかく成長するのに時間がかかり、大きなものは非常に貴重なんだそうです。味は予想通り淡泊な白身で強い癖はありませんが、少し、マスやイワナのような風味も感じた気がします。昔のことなので味ははっきりと思い出せませんが、これまで全く聞いたことのない、この特徴的な魚の知識とそれを食した経験は、ここを訪れたからこそ得られたものだと満足したことは、今でもはっきりと覚えています。

黄龍へ

ここも、写真を見れば、ああ、なんだか見たことがあるという感覚を持つ読者もいるのではないでしょうか?

黄龍です。よく撮れています。

携帯で適当に撮った割には、なかなかよい写真だと思うのですが、写真を撮るのに何が大変だったかというと、結構、山の中を歩くんです。仕事の合間の弾丸ツアーはいつものことですが、九寨溝のあと、連続での黄龍は少々きつかったです。これも、行ってみなければ分からなかった事といえるかもしれませんね。

さて、ネットで画像検索しても、ほとんどこのような美しい画像が出てきます。しかし、実際に行ってみると、実はすべてのアングルからこんなに美しい景色が見られる訳ではないのです。情報にはバイアスがかかるもので、人は見せたいものを見せ、見たいものを見る生き物なのです。美しい景色を伝えたい気持ちは非常に理解できますし、私自身もデスクトップの壁紙には上の写真を設定して、友人に、「きれいに撮れてるでしょ」って言いたいです。

しかし、実際に現地に行けば、このようなイメージと大きく違う事実を目の当たりにするのです。むしろ、美しく見えるアングルは非常に限られており、ほんの一部の情報から、全体を知った気にさせられているのです。

全く同じ日に撮影した黄龍

行動を起こして初めて知る真実。いかがでしたか?10年以上たって振り返ると、美味しかったことや美しい景色の印象が強く、写真をみるまで悲しい記憶は封印されていましたね。この人間の機能をうまく使えば、心の寿命を延ばすメソッドが開発できるのはないかと、記事を書きながらふと思いつきました。

次回かどうかはわかりませんが、チベット族の村を訪ねて、羊の丸焼きをごちそうになったり、村で最高のチベット医学の先生に無理やり診察されたりと、四川省でもまだまだネタがあることを思い出したので、機会をみて綴ります。