【働かないおじさん #8】コロナのおかげで分かった、働かないおじさんの見つけ方(3/4)

【働かないおじさん #8】コロナのおかげで分かった、働かないおじさんの見つけ方(3/4)

前回の記事では、役割やポジションによって、抱えるべきタスクの量と、参加すべき会議の数とのバランスを以下の図のように整理してみました。赤い付箋の3つのタイプと、新人についてはやや特殊な存在のため、今回は検討から外しました。そして、以下の職種と役割について、タスク×会議の観点での特徴と、新型コロナの前後での変化について見てみることにしました。

  • 技術職(担当者とリーダ)
  • 営業職(担当者とリーダ)
  • コンサルタント(担当者とリーダ)
  • 管理職(課長クラス、上級管理職クラス)
タスクおよびミーティングの量と役割との関係性

技術職

まずは、技術職の特徴から見ていきます。技術担当者は個人で完結するタスクが中心で、会議が非常に少ないことが特徴です。ただし、リーダクラスとなると、担当者それぞれの成果を束ねて付加価値をつけるための会議を実施したり、関連部署から会議への参加要請に対応するため、会議数が多くなる傾向があります。

営業職

次に、営業職ですが、こちらは担当者であっても顧客訪問といった価値創造に直結する会議があることが普通であり、提案書や見積の作成についても、技術部門や経理や法務といったスタッフ部門との連携をが必要な場合が多く、会議が多くなる傾向があります。リーダクラスとなると更にそれが顕著となります。

コンサルタント

そして、コンサルタントですが、担当者であっても、リサーチや分析、適用するフレームワークの検討など、創造的な役割を担うことが多く、技術担当者と比較して、タスクが少ない傾向があります。また、リーダクラスとなると、インタビューや顧客対応といった付加価値追加に欠かせない会議に加え、社内調整も増え、会議が増加する傾向ににあるようです。

管理職

課長クラスに関しては、技術職、営業職、コンサルタントの各リーダから昇進し、プレイングマネージャーとしての役割を期待されることが一般的です。そのため、昇進前のリーダとしてのタスクと会議をバランス良く処理する必要性に加えて、管理職としての参加強制力の強い会議が増えるため、業務負荷が高くなる傾向があります。

上級管理職については、ビジョンや戦略の立案、および、戦術とそれを実行する新たな仕組みの創造といった難易度の高いタスクを専門に行うため、多くのタスクを処理するよりも、質の高さが要求されます。会議に関しては、意思決定の会議やトップセールスおよび謝罪といった顧客対応が中心となるため、権限の大きさと、人脈の広さに応じて会議が増える傾向があります。

生産性低下への対策

自宅で安全かつ快適に利用できるPC環境を提供することはもちろんですが、長時間かつ長期間の自宅勤務となると、机や椅子、セカンドディスプレイやヘッドセットなど、PC以外の備品についても生産性低下への影響が大きそうです。しかし、ただでさえ家庭でのトラブルが増加傾向にあると言われるリモートワークの状態で、さらに仕事のための出費というのは、火に油を注ぎそうです。そのため、備品購入の支援施策などは総合的に価値が高いと考えます。

オンライン会議については、画面共有が可能なものであれば、どれも大差がない印象です。最近広く認知されたZoomであれば、利用方法などの説明が必要がなく、慣れている人が多いことから、会議開始でもたつくことも少ないため、現時点では第一候補となるかと思います。しかし、ある程度人数が多くなってくると、発言するタイミングが重なったり、一人でも通信環境の影響で音声が大きく遅延する人が混ざったりすると、途端にギクシャクするするので注意が必要です。

メールでのコミュニケーションは今回を機会にSlackやTeamsといったコミュニケーション基盤の活用を検討するのがお勧めです。Teamsに関しては様々なアプリケーションが統合されており、Slackも連携できるアプリケーションが豊富なので、利用してみると、新しい働き方について考える良いきっかけになると思います。

これまでホワイトボードを多用したディスカッションを行っていた方に、リモートワークで生産性が落ちると発言する方が多いようでした。別記事で紹介したMiroはこのような用途に特化したオンラインサービスで、機能性もレスポンスも良いため、是非試して欲しいサービスです。

思わぬ落とし穴に注意

価値創造や生産性向上にフォーカスしすぎると、思わぬ落とし穴があるので注意が必要です。例えば、メンバーやリーダーに対して、ITツールによる生産性対策が有効に働き、リモートワークが恒常的なものとなったとします。そのような状況でも、育成の観点で考えると、若手のメンバーやリーダには、人間由来の非言語コミュニケーションに現れがちな、理不尽や不合理への対応の経験を積ませる必要がありますし、また、価値創造の方向性で成長させるにも、独力での習得から、ノウハウの伝承や、パッションやマインドという対面から得られる成果が大きいものもあるのです。

あと、課長クラスの管理職については、以前から業務過多な状況があり、今回のリモートワークで、複数の会議に同時に出ながら、資料作成の内職をする技を覚えてしまった人がいるようです。一見すると生産性が高まる工夫のように見えますが、並行作業で高い創造力を発揮できるような人材がそもそも業務過多に追い込まれたりするでしょうか?このような仕事の仕方を選択してしまうぐらいなので、元来、真面目な性格であろう人が、質の悪い仕事で更に成果が出ず、リモートワークという顔が見えにくい状況で、どんどん精神的に追い込まれていくケースについても十分あり得ると思っています。

続く。。。