Withコロナのアイディア創出は一人でブレスト(2/2):共起ネットワークで新たな着想を得よう!

Withコロナのアイディア創出は一人でブレスト(2/2):共起ネットワークで新たな着想を得よう!

前回は英語の技術動向レポートをテキストマイニングし、その結果から生成したワードクラウドからの気づきをネタにお話をしました。今回は、日本語のレポートをテキストマイニングし、その結果から生成される「共起ネットワーク」の活用方法でも気づきがありましたので、読者の皆さんに共有します。

このブログの読者はご存知の方も多いですが、私は「働かないおじさん」に日本の働き手不足解消や、豊かなセカンドキャリアのロールモデルとなるポテンシャルを感じています。そして「働かないおじさん」は設立予定の非営利法人においても、起業家育成プログラムの重要なターゲットと考えています。そのような背景もあり、まずは「人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査 」というレポートをインプットとしてテキストマイニングを行いました。そして、生成された共起ネットワークがこれです。

長いレポートも楽しく読めるかも

この文章の内容について、玉の大きさから重要なキーワードを、そして、それらの繋がりの強弱から関係性を推測することができそうです。文章の中身を読まずとも、タイトルとこのモデルから、企業を対象とした課題の調査であり、従業員のキャリア形成や社会貢献活動に関する支援制度、そして、その導入と管理に課題感があることが推測できます。

TOEIC対策技術の一つである、解答選択肢の先読みのように、まずはキーワードを拾って、その後、想像力を働かせながらレポートを読み進めると面白そうです。レポートの読み込みが、単に情報を得るための作業ではなく、推論とレポートのギャップに意外性を感じたり、レポートを相手に「本当にそうかのか?」という問答を楽しみやすくなるのではないでしょうか?また、ブレーンストーミングの観点出しのツールとしても使えそうな気がします。

次に、「2025年の崖」で有名なDXレポートを入力として同様に共起ネットワークを生成してみました。

進 め る 
い ぐ 
向 け る 
シ ス テ ム 
活 用 
デ ジ タ ル 技 術 
ビ ジ ネ ス 
開 発 
で き る 
モ デ ル

DXは企業とシステムの間にあり、企業においてはベンダーとユーザの関係性、また、システムにおいては既存と刷新という関係性を考慮する必要があることがわかります。また、DXにおいては、そのデジタル技術の実現性やビジネスにおける活用とそれらのモデルについて検討した方が良さそうであることが推測されます。そして、私がこの共起ネットワークモデルでビビッと来たのは、右下の少し離れたところにある「契約」というワードでした。

ブレーンストーミングで活用しよう

例えば、IT技術者が集まってDX実現の課題についてブレストをするとします。技術者ですから、DXレポートの推測であげたような観点、すなわち、デジタル技術の実現性といったシステム的な観点や、お客様との関係性、自社の人材課題あたりは誰でもあげることができそうです。

しかし、「契約」はどうでしょうか?DXと契約には論理的な飛躍があります。実際、DXレポートの中でも、DXの実現のためには社会の変化に柔軟かつ迅速に対応することの重要性が説かれており、そのためのAgile開発について言及されています。しかし、それが日本ではそれほど普及しておらず、昭和の時代から続くベンダー丸投げ文化が課題であると指摘しています。そして、その根本原因の一つとして一括請負という契約形態があり、新しい形の契約形態を模索していく必要があると締め括られています。

言い換えれば、DXを推進するにあたっての本質的な課題は「契約」にあり、これが解決されれば昭和の時代から続くベンダー丸投げのパラダイムから、開発パートナーとしてAgile開発を駆使した共創へのシフトが可能になるということです。まさにイノベーションですね。

ブレーンストーミングに話を戻しましょう。Agile開発のマネージャであれば顧客との契約が準委任やT&Mであることの重要性は認識しているでしょうが、そうでない人たちが「契約」の観点を自らあげることは難しいでしょう。このような状況において、共起ネットワークは「契約」というイノベーションを起こす可能性があるキーワドに辿り着くための論理の飛躍を、再現可能な状態で実現することができるのです。

アート思考における論理の飛躍にご興味のある方はこちらの記事もどうぞ。

私は、自問自答を繰り返している、その道のプロフェッショナルに対して、他業種の常識や、素人の素朴な疑問は、イノベーションへの着想を得る絶好の機会として非常に重要な役割を果たすと考えています。(論理の飛躍を得るきっかけ)

https://social-bizcreator.com/2020/05/05/zerovr01/

もう一度、ワードクラウド

さて、前回のワードクラウドの続き物ですし、ワードクラウドと共起ネットワークの用途の違いについて見てみましょう。今回のデータでワードクラウドを生成してみるとこんな感じになりました。

それぞれのキーワードは確認できるのですが、その関係性が分からないため、共起ネットワークの場合と比較して、検討のシナリオに関する着想を得ることが難しく、「契約」のワードもさりげな過ぎて、全く目に止まりません。

まとめ

2回の投稿にわたって可視化ツールについての気づきについて紹介しました。工夫次第で本来の目的以外にも面白く利用できそうだと感じてもらえれば嬉しいのですが。

最後にデータ分析ツールですが、これまでは無料で利用できるクラウドベースのマシンラーニングサービスとしてVaristaを利用していたのですが、こいつがとにかくデータの取り込みでエラーが出まくる上に、鬼のように処理が遅いのです。それに比べて今回利用したExploratoryは抜群の使いやすさと、私では使いきれない豊富な機能、および、これまでお近づきになる機会がなかったプログラミング言語のRが利用できる環境が整っていることから、これからも長いおつきあいになりそうな予感がします。