【ゼロから学ぶXR技術 #3】本当に欲しいものは意外と買えない(1/3)
今回は、XR技術を学ぶために、Macintosh Classicの時代からApple社製品を使い続ける私が、Windows PCを購入せざるを得なかった状況と、まだまだXR用途のPC市場は未成熟で、本当に欲しいものは意外と買えないんだなーと感じた出来事を2回にわたり綴ってみようと思います。
まずはXR技術の学習について、どこから手を付けようかと考えたとき、キズナアイのようなVTuber (バーチャル You Tuber) が注目され始めていることもあり、3Dアバターを実現する、3Dモデリング、AI技術による顔認識とモデルへの反映、音声変換あたりから着手する事にしました。
3Dアバターといえば、私の中ではクリエイターの領域だと信じており、ついに代々買い換えてきたMacやiPad pro with Apple pencilが本領を発揮する時がやってきたと、胸が高鳴りました。そしてモデリングソフトを調査し、デザイン経験ゼロでもテンプレートベースでちゃんとした3Dモデルが作成できる、「VRoid」や、使いこなせるものならやってみろと言わんばかりの超本格モデリングソフトの「Blender」、そして、ゲーム制作の事実上の標準となった感がる「Unity」のすべてがMac上で動作することを確認し、コツコツと動作検証を始めました。
平行して、3Dアバターとして気軽にコンテンツ配信できるプラットフォームとして、フェイスIDに対応したiPhone上で、「パぺ文字」というアプリによる動画配信についても検証していました。そして、この組み合わせは恐ろしいほど簡単にアバターでの動画の録画、およびライブ配信が可能でした。それこそ使い始めて15分後には録画して、そのファイルをアップすることが可能なレベルでした。
しかし、オリジナルの3Dアバターを使ったり、一方的な配信ではなく、仮想空間でインタラクティブ性を求めると、現時点では、パソコンを中心に据えた環境が必須であることが分かりました。
そして、仮想空間へ3Dアバターを導入してコミュニケーションしたり、アフレコができないライブ配信をするための音声変換を考え始めると、途端にMacが非常に使いにくいプラットフォームであるという現実に直面しました。仮想空間を利用するうえで欠かせない本格的なHMD (ヘッドマウントディスプレイ)の定番といえば、HTC社の VIVEシリーズか、Oculus社のRiftシリーズの2択になりますが、それらはWindows PCでしか動作しないのです。そして、音声変換ソフトについても、メジャーなタイトル「恋声」、「バ美声」ともに、やはりWindowsでしか動作せず、とどめを刺されました。
Oculus Rift S オキュラス リフト エス PC VR ヘッドセット 本体 タッチコントローラー セット ゲーム (SN)
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ここまでると、次から次へと追い打ちをかけられます。顔認識と3D/2Dアバターへのマッピングが極めて簡単に行えるソフトウェア、「FaceRig」もWindowsでしか動作しませんでした。
このように、XR技術を満喫するには、これらの厳しい現実を受け入れるしかなく、20年以上ぶりに、プライベートでWindows PCを調達することになりました。とはいえ、昔は仕事でマイクロソフト社、ヒューレッドパッカード社と付き合いがあった関係で、何台もの自作PCにWindowsを載せ、様々な検証作業をしていた経験があります。そして、ちょうど息子もPCを自作したいと言っていた事も重なり、これ幸いと、自分に合った1台を組み上げるべく、意気揚々とパーツの調査を始めました。
調べ始めた初期段階では、性能はすさまじく進歩したが、基本は何も変わっていないなという印象でした。しかし、性能の進歩により、メモリ、ディスク、GPU、ディスプレイ、キーボードやマウスまでも、豊富な選択肢が生まれていました。また、以前はDellやEPSONが提供していたビジネス用途中心のBTOによるセミオーダーは、個性あるメーカの参入により、バリエーションが非常に豊富になり、PCを自作する必要性もかなり少なくなっていました。更には、ひと昔前では考えられないような高性能なラップトップPCも登場しており、調べれば調べるほど、決められない状態が何日も続きました。
そして、私のやりたいことをスマートに実現してくれるPCは、一般的な常識の範疇では自作することも、購入することもできないのだという事実にたどり着き、妥協の産物である、キーボードがギラギラ光るゲーミングラップトップPCが我が家にやって来たのです。細かい事情は次回の投稿で。