【ゼロから学ぶXR技術 #4】本当に欲しいものは意外と買えない(2/3)

【ゼロから学ぶXR技術 #4】本当に欲しいものは意外と買えない(2/3)

今回は我が家にWindows搭載のゲーミングラップトップがやってくるまでの紆余曲折について綴ります。

そもそもパソコンを新調することになった経緯を復習すると、VTuber (バーチャル You Tuber)を実現するための技術から学んでみようという事で、3Dモデリングや顔認識、音声変換といった技術を検証してみることにしたところ、長く愛用したMacは相性が悪く、Windowsが必須の世界でした。そこで自作を試みようとしたことまでを前回の記事で紹介しました。

PCを自作するにあたって、今回の用途では、まずはGPU選びだという事で、最新のトレンドを調査しました。そして驚いたことに、はるか昔から高性能かつ高価だったNVIDIAのGeForceという懐かしい名前が今でも存在しており、相変わらずこの世界で幅を利かしているではないですか!あとは双璧をなすブランドとしてAMDのRadeonが台頭していますが、昔からパーツに触れているおじさんにとっては、ブランドイメージでNVIDIAのGeForce一択でした。

そして、HMD (ヘッドマウントディスプレイ)を使ってストレスなくVR環境を活用するために、GTXシリーズではなく、上位モデルのRTXシリーズを大前提としました。

GPUを決めてしまえばグラフィックボード(GPUの性能を引き出すため、様々なメーカーが基盤や冷却ファンなどに工夫を凝らして販売している。)は何でも良いと思って流そうとしましたが、これが進化しており、調査も結構楽しかったのです。特に、GPUの冷却性能の追求については、放熱方式やその素材、接着面のグリスに至るまで、様々なパーツが販売されており、昔は変態が工作して実装するぐらいだった水冷式の冷却システムも、自作マニア向けに普通に手に入るようになっていました。まあ、変態とまでは言わなくとも、今でも変人くらいの領域かもしれませんが。

そして、現在住んでいる家が仮住まいであることもあり、限られたスペースと今後の引っ越しを考えて、筐体は限りなく小さなものを目指しました。Mac miniまでとは言いませんが、G4 Cubeのような可愛い感じを想定して調査しました。

しかし、高性能なGPUの性能を引き出すためのボードと冷却ファンは、昔と違ってすさまじい大きさで、コンパクトで可愛い筐体とは非常に相性の悪いものでした。そこで、最低でも机の上には乗るぐらいの、まさにデスクトップサイズで妥協することにしたのですが、高性能なグラフィックボードは電源容量の要求も厳しいことが分かりました。要するに、体積の大きな電源が必要という事です。そして、実際に自作する際に、小さめの筐体が原因で、配線などがちゃんと収まらないのではないかという不安が襲い掛かってきたため、安全策でBTO(セミオーダー)に方向性を切り替えました。

BTOでは主要なパーツを選択して組み合わせることができるのですが、ハイスペックなGPUとの組み合わせとなると、必然的にその他のパーツもある程度高価格帯からの選択となるため、結構なお値段のパソコンが出来上がってしまいます。そして、結局は既製品のモンスターマシンを購入するのと大差がないという結論となってしまいました。

という事で、有名メーカーのハイスペックマシンでも見てみるかと調べると、こんなに気合の入ったGPUが搭載されたパソコンなど、普通のメーカーでは扱っていませんでした。そう、このGPUを選択した時点で、私もすでに変人さんの仲間入りだったのです。

そして、ついにDellのサイトで「ゲーミング」というキーワードに出合うのです。

私が学びたいXRの世界は、ゲーマーたちの世界と完全に被っていたのです。ゲーミングPCで検索してみると、あるわあるわ。鬼のようなスペックのパソコンが鬼のような価格で売られていました。そしてそのこだわりは、普通に生活をしている人には絶対不要な解像度やリフレッシュレートのディスプレイ、死ぬほど耐久性を高めた上に、虹色に輝くゲーミングキーボード、何なら、冷却ファンまで七色に輝き、それを鑑賞するために透明の筐体まである始末です。

私にとっては完全にオーバースペックというか、不要スペックですが、それが価格にはねており、ビジネスで使っているパソコンがカローラなら、ゲーミングPCはレクサスといった感じでした。

とはいえ、必要なパソコンなので、あれこれと調査しているうちに、なんと、世界をまたにかけるプロゲーマーのための、鬼スペックのラップトップPCが存在していました。これは、もともと超小型パソコンを求めていた私にとっては、最高のソリューションになりえたので、この方針で決定し、製品調査を始めました。

GeForce RTX™ 2080 Max-Q デザイン8GB はやりすぎと思う。サウンドもハイレゾ。

そして、衝撃の価格を知るのです。まさに、ポルシェかBMWか。昔の人にとっては、これって、パソコンではなく、もはやワークステーションと呼ぶのでは?と。それでも諦めずにさまよっていると、偶然、購入当時の最新機種の最上位モデルが半額以下の値段で、1台限りで販売されていました。それは、メーカーが回収した製品を、メーカが再調整して出荷した、安心の中古品でした。

そしてついに、Windowsパソコンが我が家にやって来たのです。

火入れ前は普通のパソコンでした。

次回はこのラップトップPCがいかに、私のライフワークとHMDメーカの想定から外れているかについてお伝えしようと思います。