【ゼロから学ぶXR技術 #5】オンラインワークショップよりオンライン飲み会の方が難しい

【ゼロから学ぶXR技術 #5】オンラインワークショップよりオンライン飲み会の方が難しい

緊急事態宣言が解除されたものの、働き方改革のに真剣に取り組み企業が増え、今後も引き続き、リモートワークでの生産性向上について議論されると思われます。私自身も今週中に初めてのオンラインワークショップを控えており、それに向けたテクニカルリハを実施したので、その結果を共有します。

実施環境については、最近、絶好調のZoomを利用します。オンライン会議やセミナーで利用している方は多いと思いますが、ワークショップとなると、利用経験がある人の方がまだ少数派なのではないでしょうか?そこで、一般的なワークショップの進行を想定して、Zoomの機能や気になるポイントなどをざっとご紹介します。

ブレイクアウトセッションのテクニカルリハ

ガイダンス

メインのミーティングルームに参加者全員を招待し、Zoomを使った基本的なコミュニケーション方法についてレクチャーします。Zoomでの会議へ招待について、基本的な部分は割愛しますが、セキュリティを考慮して、ミーティングパスワードの設定や、参加承認を必須にするなど、最低限でも、見知らぬ人が乱入できないぐらいには気を配りましょう。

また、発言する際のルールについては、コメントを使う、意思表明のアイコンの利用、質疑の時間を決めるといった運用対処など、参加人数に応じて向き不向きがありますので、あらかじめ検討しておきましょう。発言しない人はミュートにすることは基本ですが、不慣れな人の端末から、メモを取るタイプ音や生活音が入り込むのは、お約束になっている感がありますね。

ブレイクアウトセッション

講義や個人ワークであれば、通常のオンライン会議と同じ環境で全く問題ありませんが、グループワークとなると大きな問題が発生します。集合形式のワークショップであれば、座席配置を変更し、グループごとに集まって作業をするところですが、Zoomでそれを実現する機能がブレイクアウトセッションです。メインの会議室の中に、複数の分室を作るイメージです。そして、その分室に参加者を自動または手動で振り分けることができます。各分室では通常のオンライン会議のように会話はもちろん、画面共有などの機能が利用でき、他のグループの声は聞こえないので、集中してグループワークに取り組むことができます。

ブレイクアウトセッション機能

ファシリテータは自由にそれぞれの分室に入室でき、アドバイスをすることが可能です。また、メインの会議室で待機しており、分室からの呼び出しに応じて、参加するという機能も用意されています。ファシリテータは各分室に対してメッセージをブロードキャストしたり、作業時間を設定し、終了とともに、メインの会議室に引き戻したりと、ワークショップを実施するにあたり、必要な機能は十分に備わっていると感じました。

付箋紙がないけどどうしましょう

あと、ワークショップで必須のアイテムである付箋紙が使えないことが結構厳しいと感じる人がいるのではないでしょうか?コラボレーションというキーワードでホワイトボード機能や共有ファイルへのコメント機能などがありますが、ブレーンストーミングでの、アイディアの発散や集約作業にはとても対応できません。マイクロソフトのTeamsでOneNoteを連携させると、かなり良いところまで行くのですが、なんといっても動作が遅すぎます。

そこで私がおすすめするソフトがWork Flowyという、いわゆるアウトラインエディタです。クラウドベースですが、複数端末からの更新に対しても、十分高速に動作し、アイディアをどんどん書き出したり、構造化して整理したりすることができます。また、ファシリテーターが事前に準備したコンテンツの一部だけを簡単に参加者と共有できるとともに、参加者の記録した内容も、ファシリテーター側の情報に反映させることができるため、演習結果を集めたり、整理しなおす必要がありません。そして、ワークショップで利用する程度の情報量であれば、無料で利用できるところが素晴らしいです。私は書籍の執筆、アイディアの整理、議事録の作成や備忘録と、あらゆる用途に活用しています。とにかく「シンプルで動作が速い」は正義なのです。

超おすすめのアウトラインエディタ、Workflowy

ワークショップが終了すれば、メインの会議でラップアップを行い、終了する流れとなります。私が今回予定しているワークショップでは、このまま、オンライン形式の懇親会に流れる計画なのですが、困ったことに重要な機能が見当らないのです。

最近流行している、いわゆるオンライン飲み会は、数名の気の知れた仲間同士であるため、声を聴けば誰が話しているかはすぐにわかりますし、数名であればカメラ画像を並べて全員と対面で話した気分を味わうことができます。しかし、大きな会場での立食パーティーのように、一つの会議室で数十人が交流することは、オンラインでは現実的ではありません。では20名ぐらいならどうでしょうか?私は、居酒屋で行う忘年会のイメージで、6名テーブル4つぐらいの感覚でブレイクアウトセッションを行い、それぞれの会議室を席替えのように行き来すれば、リアルと変わらない感覚を得られると考えました。

しかし、残念なことに、Zoomでは参加者は自分の意志で、別の分室に移動できないのです。部屋の移動を実現するには、ファシリテーターが参加者のリクエストに応えて、移動の操作をしてあげる必要があるのです。これって、ファシリテーター、すなわち、幹事はずっと席替え対応で、参加者との懇親を深めるどころではないということですよね?

真面目にワークショップをしている限り、Zoomの機能は非常に完成度が高いと感じましたが、少し用途を拡張するとこの状態なので、おそらく飲み会は用途として想定していなかったのだろうと思いました。また、すでにこれだけ多くの人が利用するようになっても、この機能が実装されていないという事は、ブレイクアウトセッションの機能を活用してまで飲み会をやろうと考える人は、ちょっぴりイノベーティブなのかもしれませんね。(今回はXR的なのは、写り込んだアバターの映像だけでした。。。)